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【2025/07/18 08:41 】 |
仰げば尊し2
「あの頃あたし結構カリーニンさんといたんだよ」
「…」
思い出したのか彼の顔が曇る。
「あんな中にいてもカリーニンさんのそばだとちょっと安心しちゃった」
「…そうか」
「うん。だってあんたみたいだったから」
きゅっと抱きしめている腕に力を込める。
「あんたと一緒。口下手で無口で無表情でデリカシーなくて」
彼は自分に言われてるように聞こえてるのか汗がだらだらと流れている。
特に気にするわけでもなく宗介の胸にくっつきながらなお続けた。
「すぐ人に命令するし、ボルシチはまずいし、頑固だし」
「俺のボルシチはまずくはないぞ」
「それはあたしが教えたからでしょ」
「…」
彼はなんとか反論を試みたが失敗に終わりぐうの音も出なくなる。
「でもね」
あたしはそこで言葉を詰まらせた。
「でも…優しかったよ。守ってくれた。あんたと一緒。」
彼をしっかりみてあたしは言った
「そうか…だが」
まだ彼の顔は暗い。
「もーまだ不満なの?」
ポスンと胸にまた顔をくっつける。
「…少佐は俺にとって育ての親であり、傭兵として師であり指揮官でもあった。」
「うん」
「だが藍奈に…言えない」
「藍奈に聞かれたの?」
「あぁ…俺の大切な人だと答えた」
「それでいいじゃない」
なにか間違ってるの?と下から宗介を見た。
目の奥が揺れた…
何かに脅えてる目だ。
彼はゆっくりと小さく言葉を吐いた。
「…俺が…殺した…」
「そーすけ…」
何かが外れたように口から言葉が流れ出る。
「自分で殺しておきながら今更大切などと…俺は最低だ」
あたしから視線を外して彼は泣きそうな顔をしていた。

違うでしょ宗介
だからでしょ?
「大切な人だからでしょ」
「?」
「他の誰でもなく彼だから許せなかった。」
「あぁ…」
大切な人だから解って欲しかった
戦いたくなかった
でもそうしなければいけなかった。
あたしを助けるために…

「ねぇそーすけ。大切な人でいいんだよ。」
ずっと…考えないようにしてきたんだね
ずっと奥に仕舞ってきたんだね
気がつかなくてごめんね

「そーすけ…我慢しなくていいよ」
ビクッと宗介の身体が揺れた
耐えてきたんだ
あたしと藍奈の為に
「もういいんだよ」
ポタポタ…
気がつけば宗介の目から雫が落ちてた
「大切な…人だったんだ」
掠れてる声
「そーすけ」
撫でてやるとあたしは抱きすくめられた
「…ッ」
「そうだね」
「と…さん…」


続く
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【2011/06/10 13:34 】 | フルメタ:宗かな:家族 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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