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「どうも廃ビルみたいだな。こりゃ…」
各部屋を周りながらクルツがボヤいた。 「そうだな。」 お互い背を向けながら前に銃を構えて通路を進む。 「この部屋で最後だ」 キィッ- 嫌な音を立てて扉が開く 中には人の気配はなかった。 殺風景な部屋の中には小さな人形が置いてある。 誰も居ないことを確認後宗介は何となく気になってその人形に近付いた。 長い黒い髪に大きな偽物の目。 白い肌に青いワンピースを着たその人形は赤いリボンを頭に着けている。 まるで彼女のようだ。 「おいソースケ。気を付けろよ」 宗介はクルツの声など聞こえていないようで 何も疑わず何も考えずその人形を手に取った。 カチッ 「ソースケ!伏せろ!!」 -ドォン- 人形が宗介の手の中で爆発したのが先か クルツが持っていた銃で叩き上げたのが先か 部屋に響きわたる爆発音と鈍い痛みで宗介の意識は途絶えた。 帰ってきたら家には宗介の姿はなかった。 食卓の上に置かれた手紙には いつものように一言だけ「仕事が入ったので行ってくる。」と書いてあった。 今日は休暇願いを出して休みにしたはずだ。 それで呼び出されたのだから事務作業ではない。 そーすけが…呼び出されるような事が今になってあるなんて… 足元が穴が開いたような感覚になった。 そうだ。彼はまだ傭兵なのだ。 あの頃のように危険ではない仕事ばかりだったからどこかで安心していた。 もう彼が傷つかない仕事なのだと…。 そんなはず無かった。 そういえばたまに仕事から帰ってすぐ触れようとせず風呂場に直行する事がある。 「少々疲れているだけだ。問題ない。」 彼はそう言っていた。 あれはあたしを不安にさせないために取り繕ったのではないか? だんだん大人になってきた彼は昔ほど表情に焦りが出なくなった。 クールというかなんというか。 少し微笑む事も覚えてきた。 そんな平和な日々が嬉しくて幸せであたしは忘れていた… 「そーすけ…」 返事などあるはずもなく 心には不安と恐怖。 かなめは無意識に携帯を握りしめた。 続く PR |
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