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本当に…忘れちゃったんだ…
息がうまく出来ない… 泣いちゃだめだ! 泣いちゃ… かなめは震えていた。 彼が生きていれば大丈夫だと思っていたのに。 「そう…ごめんね…片付ける」 辛うじて出た言葉はそれだけだった。 カチャカチャと音を立てながらお弁当をしまう。 泣いちゃだめ…泣いちゃだめだ! 必死に涙を堪えながら震える手でしまう。 -ガチャ 「…なにしてんだかなめ。しまわなくていい。」 眉間にしわを寄せたクルツが不機嫌そうに言った。 「クルツ。」 「…」 チッ 舌打ちした音が聞こえた直後宗介は鈍い痛みにおそわれた 「そーすけ!やめてクルツくん!!」 「っざけんな!!何やってんだお前!あんだけやったのに一っつも覚えてねえのかよ!」 なおも殴りかかろうとするクルツを必死にかなめが引き止める。 「やめて!お願いクルツくん!!」 「かなめは黙ってろ!」 「お前の言っていることは意味が分からん」 ぱたぱたとほこりを払いゆっくりと宗介は立ち上がった。 頭が痛い。 殴られた場所よりも心臓が痛い。 泣いている。 彼女は… 「てめえ!」 「クルツ。彼女を部屋から出してくれ。」 「なんだと!」 「お前に聞きたいことがある。」 「わかった。出てくね」 「かなめ!」 「いいの。ありがとうクルツくん…」 お弁当をそのままにもう止まらなくなった涙を隠す余裕もなくかなめはフラフラと部屋を出ていく。 -ガチャ 宗介は彼女の後ろ姿を見ながら心臓の痛みに耐えた。 「クルツ。」 背を向けながら宗介がクルツを呼んだ。 「あんだよ」 クルツはことさら不機嫌そうに返事をする。 「彼女は誰だ」 感情の無い声が部屋に響いた。 「お前まだそんなこと言ってんのか!」 クルツは頭に血が上っていくのが解った。 宗介の胸ぐらを掴み無理やりこちらを向かせる。 「ッ!」 「…何故…俺はこんなに…苦しい?」 宗介は今にも泣きそうな顔をしていた。 「頭の中で彼女を行かせるなと…抱きしめなければと…何かが変なんだ…」 「ソースケ…」 「教えてくれクルツ…彼女は俺の何なのだ…」 苦しそうに呟いた宗介の瞳から涙が一筋流れた。 「お弁当忘れてきちゃったなぁ…」 屋上でポツリと呟いたかなめにひとりの男が声をかけた。 続く PR |
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