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【2025/07/18 16:17 】 |
キャンプ☆13
「まったくざーんねーんね~」
マオはビールを片手に大袈裟にため息をついた。
だが口元は笑っている。

「他の方は皆さん戻られたんですか?」
「なんかうちの副社長が遊んでないで戻って来いってお怒りみたいね」

ニヤニヤと言うのがぴったりな笑いを張り付けながらマオは空になったビールをくしゃっと潰し、新しいビールを開けた。

「マデューカスさん…大変そうだなぁ」
「ま、帰ったらソースケも大目玉覚悟だな」

笑うかなめにクルツがこれまたニヤニヤしながらかなめの隣で完全に固まっている宗介を見た。

「相良君も?」
「なんで相良まで?」

きょとんとしている元クラスメイトの視線を浴びつつ宗介は重い口を開いた。

「ちゅ…いや副社長は今回の警備は過剰だと仰っていて、実は許可が下りていない…」
「は?!」
「いやっ…たい…社長からは許可は出ているので大丈夫だと思ったのだが」
「テッサはソースケに甘いから副社長が断固反対ってね。」
「まぁ俺らはテッサ直属だからな~機体だけ回収されて俺らだけ残ったわけ」

だらだらと脂汗をかきつつ魚を手にかなめに言い訳をしている宗介を見つつニヤニヤ顔のマオとクルツ。

「ちょっとそーすけ!大丈夫だって言ったじゃないの!」
「いやっ…大佐殿から許可が得れれば構わないだったはずだ」
「でもマデューカスさん怒ってるんじゃない!」
「そ…それは…」
「カナメーその辺でストップ~」

じりじりと壁際に追い詰めつつ鬼のオーラを出し始めたかなめにマオが苦笑しながら止めにかかった。

「だって!」
マオに宥められながらいつの間にか手にしたふてくされながらハリセンを握り締めた。
相変わらずハリセン攻撃してるんだなと
友人が皆懐かしそうに二人を見ているのを
クルツが見て喉で笑った。

「カナメ。だいたいソースケが大目玉食らうのはね」
「マオ!」

真相を話そうとするマオにすかさず止めに入る宗介。
だがこの程度で黙るマオでもなくクルツの方に向かって宗介を押しやる。

「はいはいクルツ黙らせてー」
「姉さん俺接近戦苦手何だけどw」
「あ?」
「ナンデモアリマセン」

仕方なく宗介を羽交い締めにして抑えるが長くは無理だなぁとため息をついた。

「マオ!」
「ソースケ五月蝿い!」

最終的には飼い主に一喝されしょんぼりと口を噤んだ。


続く
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【2012/05/31 02:19 】 | フルメタ宗かな | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
キャンプ☆12
ちらりと横を見れば
千鳥が無心に魚を頬張っている。
腹が減っていたのだろうか…

俺も手にした魚を食べ始めた。


食べながら考えたい訳ではないが
何故か頭から離れない事を考える
本物は理由などわかっている。
それは千鳥の事だからだ。

ふれた瞬間の柔らかさ、暖かさ…
そして甘い匂い…

あの時感じた全てが
気を引き締めていないと蘇って
体が熱くなる。

さっきだってそうだ。

なぜ手を引いたのだろう。
これも本物はわかっている
理由は千鳥に触れたかったからだ。

触れたかったから触れるなど
今まで無かったというのに。


彼女の全てが麻薬のように俺を麻痺させる。

さっきも限界だった。
半分寝ている彼女に俺はなんて事を…


「そーすけ?なんか怖い顔してるけどどうしたの」

千鳥の声で我にかえる。
魚はとうに食べ終わっていた。
周りを見れば不安そうにみている友人達に千鳥。

「相良君大丈夫?なんかあったのかな?」
「いや、問題ない。少し考え事をしていただけだ。警備体制に問題はない。」

安心したのか皆持っていた魚をまた頬張りはじめた。

「なに考えてたのよ」

千鳥が新しい魚を寄越しながら聞いてきた。

「いや…それは…「Hei!!皆楽しくやってるか~?」

「クルツ!?」

いきなり響いた声に反射的に千鳥を背に隠し身構えてしまうが当の本人は気にせず魚を手に取り食べ始めた。

「クルツ!お前警備はどうした?!」
「あのなぁこんな平和な所であんな厳重な警備いらねえよ。うまいなこの鮎」
「おまえにやるためにつり上げたのではない!」
「お前そりゃひでーだろ。こちとら一日中狭い機体の中で待機だってぇのによ。あ、ありがと~味噌汁うめぇ」
「稲葉食い物を与えるな!いいから持ち場へ戻れクルツ!」
「やなこった!じきに他のメンツもくるからさ騒ぎまくろうぜ~!」
「クルツさんそれAS用のスーツですよね!見たこと無い形だ!」
「俺専用だからな!従来品より性能上がってるんだぜ!」
「はい。コーヒーをどうぞ」
「ありがとーヤマトナデシコここに現るって感じだな~」

クルツは皆と仲良く食事を始めた
いかんマオが来る前になんとかしなければ!!

「はぁい~元気にしてた~?」
「マオさん!」
「お酒持ってきたわよ~」

「もう止められないわよ。諦めなさいそーすけ」

千鳥に笑いながら言われ
俺は頭を抱えため息を付いたのだった。

続く
【2012/02/09 01:03 】 | フルメタ宗かな | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
キャンプ☆11
「嫌ではない」
かろうじて出た言葉は自分の気持ちとはほど遠く、いつも自分の気持ちをきちんと伝えられない自分に嫌気がさす。

「あ…そ…」
案の定千鳥は余計に不安そうにというか不満そうになってしまった。

腕を放さない所を見るとまだ弁解の余地はありそうだが上手くできる自信はない。

「千鳥」
「あたしは…いつだって…特別になりたいのに」
「ち…千鳥」
「そーすけは…あたしに…興味ないの…?」

真っ直ぐに見つめてくる千鳥の瞳に吸い込まれそうになる。

触れたい。
そう言えたらどんなに楽か…

「そーすけ」
「ちど―」


重なった唇に何かが弾けた。










「ん~よくねたぁ~」
「かなちゃんおかえり~」
目を覚ますとあたしは木陰に横になっていた。
その隣でそーすけが寝ていてびっくりした。
腕枕しててくれたみたい。
ちょっと恥ずかしかったけど嬉しかった。

荷物置き場から離れてたみたいで戻ったら皆はすでに焚き火で魚を焼いていて食欲を誘う香りがする。

「良い匂い~」
「も~なかなか帰ってこないから心配したよ~」
「ごめんごめん」

宗介はすでに小野Dと風間君と何かはなしている。

お蓮さんがくれた珈琲を飲みながらさっきの事を思い出す。


なんだか凄く
凄く凄く恥ずかしい夢を見たような気がする。

でも暖かく包まれる感覚が目を閉じればやってきて
ずっと感じていたいと思ってしまう。

「千鳥」
「わひゃっ!」

いつの間にか目の前にいる宗介に思わず変な声が出てしまった。

「びっくりしたじゃないの」
「さっきから何度も呼んでいたのだが…」
「そっか…ごめんごめん」
「魚が焼けたそうだ。」

そういうと宗介は手を取って歩き出した。
自然に繋がれた手。
暖かい手。

いつもなら手を繋がない宗介から
自然に繋がれた事に胸がドキドキする。


やっぱり恋人同士なんだし、手を繋いだり腕を絡めたりはしたい。
もちろんあたしからは恥ずかしすぎて皆の前では出来ないけど
その点宗介は恥ずかしいとかはないみたいだけど
必要以上に触れないようにしてる素振りをする。
大事にされてると思うけどちょっと嬉しくない。

それなのに皆の方にズンズン手を引いて歩いていく。
急に積極的になられると困る。非常に焦る。嬉しいけど恥ずかしい。

とりあえずお魚を貰ってかぶりつく。
手は離してもそばを離れないのはいつもの事かなとは思うけど。

続く
【2011/10/06 10:20 】 | フルメタ宗かな | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
キャンプ☆10
「千鳥!」
急いで彼女を水の中から引き上げようと近寄る。

幸い水は飲んでいないようだ。
落ちてすぐに常盤が支えたのだろう。

水から出そうと抱き上げると、千鳥が小さく動いた。
「千鳥、大丈夫か?」
「ん~眠。」

心配そうにのぞき込んでいた友人達は
その一言に笑いながら離れていった。
「相良くん後よろしくね」
常盤が安心したように笑って言った。

『大丈夫か~ソウスケ~』
「あぁ。問題ない。」

千鳥を近くの木陰に横にさせようと移動しながら
極力肌を触れ合わないようにする。

しかし俗に言うお姫様だっこというやつは
いかんせん肌が触れ合うし
手の置き場に困る。

足は膝の裏に腕を通すだけだが、自然と太ももに手がいく。
上半身など胸に触れそうな
位置になってしまう為
気が気ではない。

だが肩に乗せると後が怖い。

早く下ろそうと木陰で下ろそうとしたが首に巻き付いた腕が離れない。
「千鳥。腕を」
「やらぁ~だっこ~」
「ち…千鳥?」
「おひ…めさま…だっこ…」

ぎゅっ
むにっ

「!!」
柔らかいものが胸にあたる。
腕が離れない為に半分寝ている千鳥の舌っ足らずな声が耳元で揺れる。

いっそこのまま己の欲望を吐き出してしまえばいいのだろうか?
いつもよりも力のない彼女を組み敷いてしまえたらー

柔らかく張りのある肌に
伏せられた長い睫毛
キュッと引き締まったくびれ
すらりと伸びた手足
少し開いた艶やかな唇
少し乱れた髪

自分はいつからこんな考えを持っていたのか

汚れ無き強気な彼女を
自分の欲望のままにしてやりたいと思ってしまう。

だめだ
そんな事は絶対に許されない。
一時の気を緩みで彼女を失うのは耐えられない。
なんとか冷静さを取り戻すと千鳥に声をかけた。

「千鳥…横になったほうがいい」
「ん~」
「きちんと横になり、体を休めろ。タオルを取ってくる。」
「…」
しかし千鳥はふるふると小さく首を振る。
「千鳥、頼むから言うことを聞いてくれ」
「…」
「千鳥?」
駄々をこねるように首を振っている千鳥。
「千鳥。」
どうしたものかと困っていると
千鳥が此方を見ているのに気がついた。

「起きたか」
「そぉすけは…いや?」
「は?」
「あたしと…くっついてるの…や?」

瞳が不安げに揺れている。
首に腕が巻き付いたまま
逃げられない。

嫌なものか
すぐにでも溢れ出そうになる黒い欲望を必死にこらえた。


続く
【2011/10/06 09:30 】 | フルメタ宗かな | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
キャンプ☆9
戻ったら宗介はさっきより大丈夫な顔をしていた。

手渡したコーヒーを飲みながら釣りを再開した。

「ソースケ」
「なんだ」
声のトーンも表情も
いつもの無愛想な彼に戻っていて
なんだかちょっと切なかった。
「何でもない」
何でもないなんてうそだ。
本当は聞きだい。

隠し事されるのはもう嫌なのって言ってしまえば楽なのに
彼の前ではうまく行かない。

「そうか」
「うん」
宗介はチラッと此方を見たけど、またしかけに視線を戻してしまった。

「…」
なんかなー
今日の水着新しいんだけど。
まだ誰にも見せたこと無かったんだけど。

小野Dと風間君はやっぱり男の子だから
女子達の水着姿にちょっと嬉しそうなオーラを出してるのがわかったけど
この朴念仁はチラッと見ただけでさったと釣り場へ行ってしまった。

前の水着よか頑張ったんだけどなー
色とかそーすけの好きそうな青にしたし。
前にくれたあの石と同じ色探すの大変だったのに!
なーんて言ってもこの朴念仁にはどーでもいいんだろうけど。

なんて
そんなわけ無い。

「うそ」
「なに?」
「なんでもないなんてうそ」
「千鳥?」

そーすけがこっちを向いた。

言いたい。
でも素直になれない。

わかってた事だけど、なんだかすごい悔しい。
寝不足のせいで頭は痛くなってきたし
体がだるいしもうかなり眠い。

「そーすけのばか。もういい」
「千鳥?」

立ち上がった私は
そのまま背を向けて岩場を降りた。
その時水辺に近い所でいきなり視界が空を捉えた。

「わひゃ!」
「千鳥!」

滑った事に気がついたけれど
時すでに遅し。
いつもならばもうちょっと機敏に動けるはずなのだが…


ざぼーん


「かなちゃん!」
「千鳥さん!」
「ちょっと大丈夫!?」


みんなの声を聞きながら
水が冷たくて気持ちよくて
もうどうでも良くなったあたしの意識は奥へと沈んでいった。





続く
【2011/08/26 10:06 】 | フルメタ宗かな | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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